PLの野球が愛されたのは、試合中のマナーが良かったからというのもあります。たとえば、ダブルプレーを防ぐために危険なスライディングをするようなことはなかったし、ベンチから相手校を野次るようなこともしません。あるいは、清原なんか、相手打者がヒットを打って、一塁に到達すると、「ナイスバッティング!」と声をかけていた。PL野球の教えは、二代・御木徳近教主の言葉である「球道即人道」であり、「PLの野球は世界平和のための野球である」というもの。

 PLの選手たちは、打席に入る前などに胸に手を当てていましたよね。それはメジャーリーガーやサッカー選手が十字をきってお祈りするのと同じ行為です。無心でプレーすることが勝利につながり、人に感動を与えたんじゃないかと思います。伝統を受け継いでいる野球人はたくさんいます。

──PL教団自体が信者数が大きく減り、体力がありません。

 私には詳しいことはわかりません。

──かつてのPLのように、現在は大阪桐蔭が一時代を築いています。

 PLが強くなる以前は、浪商(現大体大浪商)が強い時代があり、浪商をやっつけようとわれわれも必死になった。PLの桑田・清原の時代や立浪の時代は、PLを倒そうとして、全国の野球がレベルアップしていった。PLも全国レベルを目指し、もう一度、強くなってほしいと願います。

週刊朝日 2015年8月28日号より抜粋