“新国立競技場”は徳川家の呪い? 宗家と東京五輪との意外な関係

新国立競技場

2015/08/03 07:00

提供:スポーツ振興センター
提供:スポーツ振興センター

 幻となったザハ案など新国立競技場建設で災いが続出するのは「徳川一族の呪いではないか?」という怪情報がインターネットなどで駆け巡っている。実は徳川宗家(将軍家)と東京五輪には浅からぬ縁がある。

 2020年東京五輪の会場となる新国立競技場、東京体育館などがある千駄ケ谷にはその昔、大政奉還で江戸城を出た徳川宗家の広大な屋敷があった。

 1940年の、日本で最初の東京五輪開催が決まり、その組織委員会会長に宗家16代当主・徳川家達氏(公爵)が就任した。体育館の建設予定地として宗家の屋敷(約2万坪)、土地が東京市へ譲渡されたが、戦争が泥沼化したため、頓挫。家達氏は40年に失意のうちに死去したとされる。

 戦後の56年にその土地に東京体育館が建設され、64年には東京五輪が開催された。このとき、突貫工事が行われ、高台にあった徳川家ゆかりの寺「仙寿院」の墓地の下を通る千駄ケ谷トンネル、オリンピック道路が建設された。

 そのため、「徳川家の呪い」怪談が周辺で誕生し、現代でも蘇ったようだ。

 宗家の現当主、恒孝(つねなり)氏の長男で19代目となる政治経済評論家の徳川家広氏を直撃した。

「16代は1935年頃から寝たきり状態で、五輪組織委員会会長は完全な名誉職です。中止でがっくりきたとも思えません。千駄ケ谷トンネルの建設の時は、ちゃんと法要をしているはず。それにうちの人たちは皆のんびりしていますから、祟(たた)ったりしませんよ(笑)」

(本誌・一原知之、西岡千史、小泉耕平、古田真梨子、森下香枝)

週刊朝日 2015年8月7日号

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