香川愛生22歳(撮影/山本倫子)
香川愛生22歳(撮影/山本倫子)
里見香奈23歳(撮影/山本倫子)
里見香奈23歳(撮影/山本倫子)
山口恵梨子23歳(撮影/山本倫子)
山口恵梨子23歳(撮影/山本倫子)
塚田恵梨花16歳(撮影/山本倫子)
塚田恵梨花16歳(撮影/山本倫子)

 女性だけの棋戦に臨む女流棋士が注目されている。若手で活躍する、強く美しい精鋭を紹介する。

 女流棋士は、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)所属やフリーも含め、計56人。切磋琢磨の中で今、若手がめきめきと力をつけ、牽引役となっている。

 男性が中心の将棋界で、歴史が浅い女性は、実力も男性に比べ、低いとされてきた。

「現在活躍する若手女流棋士は、男性との対戦で勝率が2割~2割5分。以前に比べ、1割ほど上がっています」と将棋ライターの後藤元気さん(36)は指摘する。

「今の女流トップ棋士は、個性が強くて、負けず嫌い。今後、男性と互角に戦う、女性の“棋士”も出てくるでしょう」

・王将 香川愛生 22歳
アイドル顔負けのルックスは、AKB48のメンバーのひとりになぞらえ、「将棋界のまゆゆ」とも呼ばれる。友達の男の子の影響で、小学3年で将棋を始めた。プロで初めて壁にぶつかり、将棋から遠ざかった時期もある。だが大学進学を機に再始動。拠点を京都に移し、実力が開花した。2013年に女流王将のタイトルを獲得。昨年、防衛した。好きな言葉は「執念」。勝利へのこだわりこそ、自分を高める武器になるとの思いからだ。女流棋士、不動の“センター”の勢いは止まらない。

・名人 里見香奈 23歳
女流最強の棋士として、道を切り開いてきた。5歳から将棋を始め、12歳でプロに。2013年には、史上初の女流五冠。目指すのは、男性と同じ舞台で戦う女性初の「棋士」だ。プロ棋士を養成する「奨励会」で13年、三段に昇格。「棋士」に王手と迫ったが、一日10時間も将棋に向かうストイックな生活から体調を崩し、翌年3月から休場。15年1月に復帰したが、まだ体調は本調子ではない。「どんなことがあってもプロ棋士に」。その思いを胸に、早ければ10月にも三段リーグへの参加を目指す。

・初段 山口恵梨子 23歳
アマ四段の父親に教わり、6歳から将棋を始めた。小学生からプロ棋士を目指し、将棋の授業がある小学校に転校したり、道場に近い東京・千駄ケ谷に引っ越したり。将棋を軸に生活を送ってきた。好きな言葉は、「知行合一」。愛用の扇子には、羽生善治名人の文字でその言葉が刻まれている。昨年、大学を卒業し、将棋一筋の生活を送る。「今年から来年にかけてが勝負の年。タイトルを獲るために、トップ集団に食らいついていきたいです
ね」

・2級 塚田恵梨花 16歳
両親はともにプロ棋士。将棋界初の「二世プロ棋士」が誕生した。両親の影響で、小学4年の頃から本格的に将棋を始め、2014年に女流棋士に。「まさか娘がプロ棋士になるとは思っていなかったでしょうね」と笑う。師匠は、父で元王座の塚田泰明九段、母は高群佐知子女流三段。「昇天流」と呼ばれる豪快な攻めの棋風で知られる、父の将棋を受け継いだ。プロ1年目。目標は今年中の初段昇進だ。「話題性に負けないくらいの実力をつけたいです」

週刊朝日 2015年6月5日号