4月下旬に日経平均株価は2万円台を回復したものの、わずか数日で反落し、5月の連休が明けた後も伸び悩んでいる。大きく下げないものの、大きく上げもしない“踊り場相場”。こうしたときは、出遅れているキラリと光る魅力ある銘柄を選ぶのが得策と専門家は口をそろえる。

 4月末に大幅に下落して以降、日経平均は頭打ちとなっている。だが、それとは対照的に日本企業の業績は絶好調だ。上場企業の前年度3月期の決算が出そろったばかりだが、売上高、純利益ともに過去最高を記録したもよう。円安を追い風に、輸出企業の業績が躍進している。

 先行きも明るい。今年度は原油安の恩恵が本格的に期待できるうえ、国内景気の回復で内需系企業の業績拡大も見込まれるという。その結果、上場企業は2年連続で売上高、純利益が過去最高を記録する見込みだ。にもかかわらず、日経平均は伸び悩んでいる。

「ギリシャの財政問題で欧州を中心に、世界的に長期金利が急上昇していることが一因」と指摘するのは、岡三証券ストラテジストの小川佳紀さん。長期金利が上昇すると、株が売られやすい傾向がある。それを意識して積極的な買いが入らず、頭打ちの展開が続いているようだ。

「長期金利の上昇が終息するまで、株式市場も不安定な動きになると考えております」(小川さん)

 また、カブドットコム証券チーフストラテジストの河合達憲さんはこう語る。

「経済指標の低迷を発端に、米国景気の減速懸念が生じたことも相場に重しとなりました。しかし、それはあくまで寒波などによる一時的な現象にすぎず、4月の雇用統計も好結果であったことから、株式市場も米国景気の回復に対して自信を取り戻しつつあります」

 ただし、河合さんは次のようにも考えている。

「確かに、一時と比べれば日経平均の割高感は解消されてきました。とはいえ、これまで日経平均をけん引してきた大型株のさらなる上値は、かなり限定的となってくるでしょう」

 大型株とは、ソニーやトヨタ自動車など日本を代表する企業のこと。上昇相場では、まず大型株から買われる傾向がある。では、こうした相場において、上昇が期待できる銘柄はあるのか。

 河合さんは、株価が出遅れている「テーマ銘柄」に注目する。テーマ銘柄とは、市場で話題となっている新技術や政策などの恩恵を受ける銘柄。

 その筆頭にあげられるテーマが「マイナンバー制」だという。これは、国民一人ひとりに個別の番号を割り当て、納税や社会保障などの情報を一元管理する制度だ。その是非はともかく、来年から導入されることは、もはや決定事項だ。

「マイナンバー関連で絶対に外せないのはNTTデータ。システム受注で最も恩恵を受けるのは確実。目先の株価は調整気味なので、出遅れ銘柄としても妙味があるでしょう」(河合さん)

 あまり知られていない銘柄では、自治体向け総合行政システムを手掛けるアイネス、情報セキュリティー技術に強いラック、金融・通信向けが得意なDTSが狙い目と河合さんは読む。

(金融ジャーナリスト・大西洋平)

週刊朝日 2015年5月29日号より抜粋