この事件後、Mさんは体調不良をきたし、体重が減少、通院を余儀なくされた。そして昨年12月中旬、北海道新聞社内のセクハラ相談窓口に被害を申告。だが、Mさんが納得するような対応は講じられなかった。

 Mさんは生前、道新の責任者へ宛てた手紙を書き残していたが、≪恐怖が今でも脳裏に焼きついており、(略)我慢の限界を超えた≫と綴り、その対応が≪生ぬるい≫と非難していた。

 手紙を書いた5日後、Mさんは亡くなった。両親の弁護士はこう語る。

「Mさんは燃えていない自宅の物置に告発文などセクハラ被害の詳細がわかる資料を段ボールに入れて置いていた。覚悟の死だったようです」

 北海道新聞社経営企画局広報担当は本誌の取材に対し、回答した。

「Mさんの人命が失われていることを重く受け止め、弁護士を交えて、会社としてもMさんが訴えるような事実があったのかについて真摯に調査しています。関係者の聴取内容を踏まえ、弁護士や社内で分析、検討を行い、調査結果は6月ごろまとめる方針で、ご遺族にも結果をお伝えする予定です」

 調査結果の公表は予定していないという。

(本誌取材班=一原知之、小泉耕平、牧野めぐみ、山岡三恵/今西憲之、黒田 朔)

週刊朝日 2015年5月29日号