“戦争法案”が可決されれば、戦地に赴くリスクを背負うのは若者。それなら、若者の意見は選挙を通じて十分に反映されなければいけないはずだ。

 若者の選挙意識を高める一策として林氏は4月、統一地方選に合わせて模擬選挙を実施し、約200人の学生が投票した。参加した塩村夏子さん(19)は「20歳になれば選挙に行きたい」と興味を抱いたという。

「学生らも政治を考えているが、友達から『意識が高いヤツと思われたくない』などの理由から話をしない。模擬選挙などを通じて、当たり前に政治を話せるようになればいい」(林氏)

 都内の郁文館グローバル高校では「社会のことに幅広く関心を持ってもらう」(土屋俊之教頭)ために、生徒が全校生徒の前で新聞を読んで意見表明を行う取り組みを続けている。

 生徒の勝山信哉さん(17)は「最初はやらされていた感じ」だったが、今では友人や家族と時事問題を話すまでになった。

 しかし、こうした学校の地道な取り組みで、若い世代の政治意識を育てるには、時間を要する。

 となると、まもなく誕生するだろう新有権者層は、SNS戦略などに余念のない安倍政権色に染まり、改憲志向に傾くのだろうか。政治評論家の有馬晴海氏が言う。

「自民の中でも半分ぐらいは改憲に反対。それなのに、安倍首相に背くことを恐れて、政治家がものを言えない風潮にある。改憲反対の声が届かないまま、数で押し切ろうとするのは、民主主義とは言えません」

週刊朝日 2015年5月29日号より抜粋