高橋興三社長 (c)朝日新聞社 @@写禁
高橋興三社長 (c)朝日新聞社 @@写禁

 経営再建中のシャープが再び窮地に立たされている。最終赤字に転落し、単体では負債が資産を上回る債務超過に陥った。銀行などから融資を受け再建策を新たに作成したものの、再生への道筋はまったく見えない。

 多くの企業再生を見てきた東京商工リサーチの友田信男・取締役情報本部長は、

「シャープはどうしたいのか。会社の方針がまったく見えてこない。すべてが玉虫色の計画だ。ここに至って抜本的な改善策が見えてこない。こんな再建計画は初めて。大企業としての責任感が感じられない」

 とあきれる。

 骨抜きの再建計画の詳細は後述するとして、そもそも、どうして巨額赤字に陥ってしまったのか。

 シャープは液晶事業の不振で11年度に3760億円、12年度に5453億円と巨額赤字を出し経営危機に陥ったが、事業構造改革などを進め、13年度は115億円、14年度も上期は47億円の純利益を出すなど回復基調だった。

 ところがである。事態は昨年秋から一転した。主力の中小型液晶パネルの売り上げが思ったほど伸びず、急激に業績が悪化したのだ。

 何が起きたのか。シャープは、中国で急成長中のスマホメーカー小米科技(シャオミー)向けに高性能の中小型液晶パネルをいち早く市場に投入し、大量に供給してきた。ところが、日立製作所、ソニー、東芝の液晶事業が統合したジャパンディスプレイにシェアを奪われる事態となった。

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