それでも、「大谷のすごさは修正力」と言うのはベテラン野球記者。

「試合前の練習で足を上げる高さを少しずつ変えたりして修正しているそうです。しかもそれはコーチに言われたのでなく、自分で考えてやっているとか。投手としても、試合の序盤に乱れても自分でボールの質を判断し、その試合での勝負球を選ぶことで修正していく。打者としては、ヒット7本のうちホームランが2本、二塁打が2本ある。実は今季、球界全体で本塁打数が減っていて、『また飛ばないボールに戻したの?』なんて声もあるほどなんですが、そんな中で、少ない打席で2本もホームランを打っているのはすごい」

 昨季途中までかまびすしかった野球評論家の二刀流批判の声が、今季はほぼ聞こえない。大谷の成長が批判を封じ込めたわけだ。

「そもそも、誰もやったことがない道を進む大谷に対し、訳知り顔で批判できる人なんて、実はいないはずですからね(笑)」(前出のベテラン野球記者)

 そんな大谷に救われた形なのが日ハムの先輩、斎藤佑樹投手だろう。今季は1軍で2試合投げて連続KO。2軍戦でも24日に4回途中8失点で降板した。大谷の活躍でチームが好調でなかったら、佑ちゃんは今ごろ、針のムシロだった?

(黒田 朔)

週刊朝日 2015年5月8‐15日号