※イメージ写真 @@写禁
※イメージ写真 @@写禁

 私立、公立問わず農学部が増えてきている。先行き不透明な時代だからこその理系人気と、地元志向。イマドキ高校生の性質が農系学部人気につながっていると言えそうだが、もうひとつのキーとなっているのは、女子学生のようだ。教育情報会社「大学通信」の安田賢治常務取締役も、「農系学部は女子の人気が非常に高い。バイオ系の研究をしたり、食物について学んだり、なじみやすいのでしょう」。

 関東の雄、東京農業大学でも今年の入試で志願者の46.4%が女子生徒だった。この傾向は近年、続いているといい、夏秋(なつあき)啓子副学長(植物病理学)は、

「昔は、農業は家に代々引き継がれている『重いもの』でした。けれど、今は親類に誰も農業をしている人がいないのも当たり前。だからこそ、フレッシュな感覚で農業をとらえている学生が多い。特に女子学生は、自然菜園のレストランや無農薬野菜などに興味があり、親しみを持ちやすい」

 と話す。取材に訪れた日も、研究室をのぞくと男子学生3人に対し、女子学生が5人。なんとも華やかな雰囲気だった。

「みかんの花を使ったみかんウォーターを販売したり、野菜の引き売りをしたりするベンチャー企業を立ち上げる先輩もいる。将来を明るくイメージしている学生が多いと思います」(夏秋副学長)

 夏秋副学長の研究室に所属する同大大学院博士後期課程2年の鵜家綾香さんは、サラリーマン家庭育ち。土に触れる機会といえば、朝顔の栽培くらいだったが、「アフリカなどの途上国で農業をしたい。どんなイネが育ちやすいのかなどを研究し、国際貢献したい」と夢を語る。すでに現地調査のためウガンダに6回、足を運んだという。

次のページ