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「和と洋のコラボレーション」「新作歌舞伎」がコンセプトのシスティーナ歌舞伎が2月20~22日、徳島県鳴門市の大塚国際美術館システィーナ・ホールで開かれた。6回目の今年は、主演・片岡愛之助さん、相手役に元宝塚男役の大和悠河さん、敵役が京劇俳優の張春祥さん。歌舞伎を下地に和洋中、古今東西の衣装、音楽、芝居が入り乱れ、本歌舞伎とはひと味違う、楽しい舞台となった。

 昔話の「百合若大臣」にオデュッセイアのユリシーズを融合させた。若武者・百合若(愛之助さん)が、蒙古の将軍(張さん)を破った戦の帰り、家来の謀反で離島に取り残され、婚約者(大和さん)と国を盗まれる。離島脱出を試みて溺れた百合若を救うのが、海の女神カリュプソ(大和さん・二役)だ。百合若は最後には国に戻り、悪者を退治して婚約者を奪い返し、めでたしめでたし。

 張さんとの立ち回りは歌舞伎の古典的な演出手法「だんまり」も用いるが、歌舞伎と京劇の所作対決で面白い。百合若が島に取り残された場面は「俊寛」のパロディー、忠臣が救出に行く場面は「名乗り」「道行」など能狂言の手法。

 海底の場面では、胸元と脚を大きく露出させた青いドレスの大和さんと、歌舞伎衣装の愛之助さんがダンスを踊る。フィナーレでは革ジャン・ジーンズの愛之助さんがミニのウェディングドレス姿の大和さんと踊り、デュエットし、キス。本歌舞伎ではあり得ない、洋装の女優相手の歌や踊りに、軽い倒錯を覚える。

「地元還元のため」と同美術館が始めたシスティーナ歌舞伎。3日間6公演計約2800枚のチケットは、愛之助さん人気で即日完売した。終演後、愛之助さんは「去年よりさらにパワーアップしたでしょ」。

 同美術館は来年も続ける予定という。

週刊朝日 2015年3月27日号