「隔離して専門的な技術を使って脱洗脳を行い、やっと解けたのです。その中の一人の正悟師のMは、現在刑期を全うし、OLとして社会復帰をしています」

 麻原死刑囚が収監されている東京拘置所(葛飾区)の周辺は、「麻原のエネルギーが強い」という理由から、信者の間では“聖地”とされている。ぶつぶつと何かを唱えながら巡礼する信者が近所の人の間で、たびたび見かけられている。

「麻原の死刑が執行されても神になるだけ。オウムの闇は今も解明されていないことが多いのです」(同)

 だが、未解決事件を掘り起こしてほしくない人がいるようだと、苫米地氏は指摘する。 「國松(孝次元警察庁)長官狙撃事件も、K(元巡査長)が証言をしても、証拠が次々と消されて隠滅されてしまった。サティアンがあった旧上九一色村に、核廃棄物がいまだに埋められているという話も、当局は調査しようとさえしなかった。高橋被告の審判が終わり次第、麻原から順番に死刑が執行されて、問題がなかったことのように、闇に葬られようとしています」(同)

(本誌取材班=上田耕司、牧野めぐみ、原山擁平、福田雄一/今西憲之)

週刊朝日 2015年3月27日号