酒のおいしさが増す手仕事でつくられた錫の酒器使い込むうちに微妙に形が変化し、そのたたずまいがいとおしいものに。花器として使うと、錫の抗菌作用で花のもちがいい。写真奥のように、タンブラーに好みの形に曲げたKAGOをかぶせると剣山なしで花の位置が決まる(撮影/外山亮一・スタジオ・テンフォー)
酒のおいしさが増す手仕事でつくられた錫の酒器
使い込むうちに微妙に形が変化し、そのたたずまいがいとおしいものに。花器として使うと、錫の抗菌作用で花のもちがいい。写真奥のように、タンブラーに好みの形に曲げたKAGOをかぶせると剣山なしで花の位置が決まる(撮影/外山亮一・スタジオ・テンフォー)
自在に曲がるKAGOシリーズ(撮影/外山亮一・スタジオ・テンフォー)
自在に曲がるKAGOシリーズ(撮影/外山亮一・スタジオ・テンフォー)
燗酒に似合う錫の酒器(撮影/外山亮一・スタジオ・テンフォー)
燗酒に似合う錫の酒器(撮影/外山亮一・スタジオ・テンフォー)

 週刊朝日で好評連載中の「美意識ある生活」。生活品評論家の東海左由留(とうかい・さゆる)さんが厳選したひと品を紹介している。東海さんは日本とヨーロッパで「生活をより豊かに」をテーマに様々なアイテムやサービス、ライフスタイルを取材。自腹で購入し、時間をかけて使用感を検証している。

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 今回は、能作の酒器を紹介する。

*  *  *

■今夜は、ぬる燗で一献

 錫のちろりを使うようになって、ここのところ燗酒にはまっている。ぬる燗にすると、純米酒の芳醇さがふくらむからだ。錫は陶磁器より熱が伝わりやすく、自分好みの燗に素早く温まる。冷酒を味わいたい季節は氷を張った器に挿せばすぐに冷える。呑ん兵衛の戯言かもしれないが、錫のちろり一つで日本酒のおいしさは数割増しになる。

 私が愛用しているのは、能作(富山県高岡市)のちろり。外側にも内側にも鋳型の砂地のかすかな凹凸がある。その凹凸がとろりとした酒に陰影を与え、豊かな表情を見せる。能作の酒器はどれも錫100%。まじりけのない錫は手で曲げられるほどやわらかいからか、手にしたときや唇に触れた感触にも暖かみがある。そのため、和みのひとときにぴったりの酒器なのだ。

 食器は陶磁器やガラス、漆器、と思い込みがちだ。しかし、世界各地で紀元前から食器として使われてきた錫の器を手にすると、新しい発見がある。

<今日の逸品>
ぐい呑 金箔 4400円
ぐい呑 3200円
ちろりS 9000円
曲がるシリーズ KAGOスクエアS 4200円
タンブラー 4800円
(すべて税別)
問い合わせ先:能作(のうさく)

■本商品は朝日新聞社の通信販売「朝日新聞SHOP」(http://shop.asahi.com)でもご注文いただけます。
フリーダイヤル 0120-013-193(年末年始をのぞく毎日9:00~19:00)
※能作の酒器を注文する

週刊朝日 2015年2月13日号