作家の室井佑月氏が、2014年12月に行われた衆議院議員総選挙を振り返った。

*  *  *

 4日前に選挙が終わった。このコラムが2014年最後の原稿となる。一年間、ありがとうございました。

 編集部に届いたたくさんのお手紙やメール、ものすごい励みになりました。みなさんのご意見が、なにを書くべきか、どう書くべきか悩んでいるときの、ひとつの指標になりました。

 今年は勉強する時間を増やし、もう少し賢いことをいえるようにがんばります。意見というより、世の中に対する疑問を、鋭く的確に。

 ……いやぁ、ひょっとして逆なのかもしれないですけど。今のままアホ枠であることが肝心なのかも。選挙のドタバタの中、同雑誌で一緒に連載をしている北原みのりさんの、まさかの逮捕でふとそう思ったり。

 しかし、考えすぎはアホの強みも殺してしまいますので、今年も世の中の納得できないことや疑問をそのまま素直に書いていこうと思います。その際、大事なのは素早さかも。

 総選挙、やっぱ安倍自民は強かった。これから先、良いか悪いかは置いといて、安倍さんの望む日本になってゆくのだと思う。

 だとすれば、変化に素早く気づき、声をあげるのが自分の役目のような気がしています。

「え? その説明ではよくわからないんですけど」

「は? いつからそうなったんでしたっけ」

 というように。

 それを出来るあたしになるためには、素早さと勤勉さ、つまり普段からの準備が必要であると、今回の選挙から学んだような気がしています。

 たとえば自民が、

「さ、勝負すんで。今回は野球な(実際はアベノミクスの是か非かだったけど)。んじゃ、○月×日にグラウンド集合!」

 と急にいいだしても、狼狽(うろた)えず、自分たちがサッカーが得意だったら、待ち合わせのグラウンドにサッカーのユニフォームを着てサッカーボールを持っていけば良かったんだ。

 とりあえずで野球の格好をしていってもどうせ負けるし、野球対サッカーで大乱闘になればよかった。盛り上がったわ。

 最悪なのは野球の格好をしてくる選手と、サッカーの格好をしてくる選手、なんだかよくわからない普段着までいたりして、グラウンドに集まった観客からおもわず、

「もう、絶対に見に来ないからな」

 と呆れられること。つーか、投票率の低さを見れば、すでにそうなっている。

 自民と対決できるチームは誕生しないのか。野党再編で第2自民みたいなところはできそうだけど。そうじゃないのよ。

 かつての巨人とその2軍の対戦のようなものを見せられてもさ。死人が出そうな、土ぼこり舞い上がる大乱闘が見たい。それくらいいっていいよね、こっち(国民)だって、生活苦の死人がちらほら出てるんだもん。

 もちろん、良い勝負になることがいちばん肝心。良い勝負というのは、簡単に結果が見えない試合である。

 今年もよろしく!

週刊朝日 2015年1月16日号

著者プロフィールを見る
室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

室井佑月の記事一覧はこちら