師走に入ると“やらなきゃいけないリスト”が脳裏をちらつき始める。年末の日本人を苦しめる2大イベントが年賀状と大掃除だろう。ただでさえ忙しいこの時期、せめて大掃除がなかったらどんなに心安らかでいられるか……。少しでもラクに大掃除をやっつけるため、“ズボラ大掃除”のコツをプロに教えてもらった。

「大掃除ですか? しなくてもいいですよ」

 いきなりテーマを覆す話をし始めたのは、住宅・家事専門のライター、藤原千秋さん。自身も“大掃除しない派”だ。

「この時期に大掃除をするのは、世界でも日本くらい。真冬の寒い時期に窓を開け放して水を使うなんて、苦行です。大掃除というと、なぜか換気扇や網戸を洗う人が多いのですが、油汚れは暑いときのほうが溶けやすいですし、網戸を洗って風邪をひくくらいなら、やらないほうがまし。大掃除は5月の連休か8月から10月までがベストです」

 でも、大掃除をしないで新年を迎えるのは、“やるべきことをやらなかった”感が……。罪悪感だけでも払拭(ふっしょく)できるお手軽な掃除方法を教えてください!

「どこか1カ所やるなら、玄関がおすすめです。大掃除をするのは、年神様を迎えるため。来客も多い時期ですし、入り口をきれいにすると部屋全体の印象が変わりますよ。私は去年、玄関扉の表面だけきれいに拭きました」

 一戸建ての人は、まずは玄関前に置きっぱなしの荷物や、いらないモノを片付けるのがいいという。ありがちなのは、“壊れた傘”と“枯れた植木鉢”が放置されているケース。

「住んでいる人にとっては、もはや日常風景の一部になっているので、気がつかないんです。でもお客さんには見えています。一度、“お客さま目線”で見渡してみるのもポイントです」

 そしてもう一つ、藤原さんがすすめるのが、リビングのカーテンの洗濯。

「広い部分を占めるカーテンをきれいにすると、部屋全体のトーンが一段明るくなります。ドライクリーニング表示でなければ、おしゃれ着用の洗剤で洗って脱水し、濡(ぬ)れたまま窓にかけちゃうんです。シワにならないし、部屋の加湿にもなって一石二鳥。カーテンが空気清浄機になり、部屋全体の空気が変わりますよ」

 広い部分といえば、カーペットやじゅうたんの掃除も効果的。掃除機で吸い取るだけでなく、表面を水拭きするのがいいという。

「最近、重曹よりすごいと注目を浴びているのが、セスキ炭酸ソーダです。洗浄力は重曹の10倍と言われる白い粉末のエコ洗剤。100円ショップにも売っています。バケツの水3リットルに、小さじ半分弱を入れて溶かし、水拭きするんです。手ぬぐいを濡らして絞り、電子レンジにかけて熱を加えると、アルカリ性が強くなり、洗浄力がアップします。じゅうたんについた足の脂が笑っちゃうくらい取れるんですよ」

 そして、余力があったらぜひやるべき!と言うのが、冷蔵庫の掃除。“大掃除しない派”の藤原さんだが、「これだけは冬にやるべし」と言う。

「食品を全部外に出さないといけませんが、真冬なら腐りません。冬こそチャンスなんです」

週刊朝日  2014年12月26日号