野口健「富士山の楽しみ方がパターン化していませんか?」 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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野口健「富士山の楽しみ方がパターン化していませんか?」

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 登山家の野口健さんは、富士山にはさまざまな楽しみ方があるという。

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 世界中の名だたる山に登れば登るほど、富士山は特別な山だと思うようになりました。標高3776メートルと、エベレストのベースキャンプよりはるかに低い。でも、多くの山が角度が変わればまったく別物になってしまうのに、富士山はどこから見ても富士山。姿が見えると、なぜかありがたい気持ちが湧いてきます。

 日本人が大好きな富士山ですが、楽しみ方がパターン化していませんか? 大半はバスや車で五合目まで行って帰るだけ。登山をする人も五合目から上ばかり。山頂まで行けば確かに景色はいいし、達成感も得られます。でも登山としては五合目から上は面白くありません。あまり山に登ったことがない人がぶっつけ本番で行くから、きつく、つらく楽しめないはずです。それが他の山に比べてリピーターが少ない理由でしょう。

 富士山はもっといろいろと楽しめるんです。自然を堪能したければ「五合目から下」がおすすめです。例えば精進口登山道三合目から奥庭山荘につながる道などは、樹海の生態系が実に面白い。時期によっては屋久島の森のような苔のじゅうたんが生え、美しい。毎年夏に出かけますが、すれ違う人はほぼ皆無です。

 富士山の姿形が好きなら周辺にある御坂山系を歩きましょう。河口湖のほうから登って西湖に向かえば少しずつ角度が変わり、朝昼夜ごとに違う味わいがあります。僕は写真を撮りますが、夏は雲が多いので不向き。秋から冬にかけてがちょうどいいんです。標高千㍍程度の低山なので、中高年のハイキングにもぴったり。端から端まで歩けば15~16時間かかりますが、いくらでもショートカットできます。

 楽しみ方のバリエーションを広げ、「私だけの富士山」を見つけてください。

週刊朝日  2014年9月19日号より抜粋


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