視聴率は伸び悩むも“ドラマ界のフェス”『おやじの背中』がプロ受けした理由 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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視聴率は伸び悩むも“ドラマ界のフェス”『おやじの背中』がプロ受けした理由

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週刊朝日#ドラマ

 いよいよ14日(日)で最終回を迎えるTBSドラマ『おやじの背中』。ドラマ評論家の成馬零一氏は、「今後も続けてほしい」と切望するという。

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「10人の脚本家と10組の名優が贈る、10の物語。」がキャッチコピーとなっているTBS日曜劇場で放送中の『おやじの背中』は、1クールのドラマでは珍しい一話完結のオムニバス作品。

「父親」というテーマに対して、人気脚本家たちが、どのように料理するのかが見所となっている。

 参加した脚本家は、岡田惠和、坂元裕二、倉本聰、鎌田敏夫、木皿泉、橋部敦子、山田太一、池端俊策、井上由美子、三谷幸喜の面々。

 松たか子と田村正和が親子を演じた「圭さんと瞳子さん」(岡田惠和)。女子ボクシングでオリンピックを目指す娘(満島ひかり)と父(役所広司)の激しいぶつかり合いを描いた「ウエディング・マッチ」(坂元裕二)。難聴を患ったワンマン社長(西田敏行)の孤独を描いた「なごり雪」(倉本聰)。警官である娘(堀北真希)と殺され役が専門の役者である父(遠藤憲一)の交流を描いた「ドブコ」(木皿泉)。

 そして、女優の杏と付き合っていると噂される東出昌大が杏の父親・渡辺謙と共演することで話題になった、靴職人の男とそのお見合い相手の息子との不思議な交流を描く「よろしくな。息子」(山田太一)など、どの作品も見応えのある短編に仕上がっている。

 当初は父と娘というモチーフが多いことにバランスの悪さを感じたが、後半にいくに従って多様化されて、同じ「父親」というテーマを描いていても、作家によって物語の切り口が違うのが、実に面白い。

 元々、昔の日曜劇場(当時は東芝日曜劇場)は単発ドラマ枠で、山田太一や倉本聰による良質の単発ドラマが放送されていた。その意味でも、テレビドラマの原点を探る意欲的な企画だと言える。

 このような企画が生まれた背景には、連続ドラマで視聴率がとれなくなっていることがあるはずだ。連ドラの力が落ちて、一話完結の職業モノが全盛となっているなか、映画ともアニメとも漫画とも小説とも違う、“テレビドラマでしかできないこと”は何か? その問いかけへの一つの答えとして浮かんだのが、脚本家の“作家性”を楽しんでもらう脚本家主導のオリジナル作品だったのだろう。

 テレビドラマは、出演俳優の話題ばかりが先行しており、脚本家や演出家の名前で語られることは映画やアニメに較べると実に少ない。そんな現状を考えると、ドラマ評論家としては、すごく応援したい企画だ。

 その一方で、今のテレビドラマ視聴者の間で、「作家で観る」という慣習がどれだけ根付いているのかというと、残念ながら現状は厳しいと言わざるをえない。視聴率も、初回こそ平均視聴率15.3%(関東地区)を獲得したが、第2回以降は10%を超えず、『半沢直樹』を筆頭に他の枠に比べて視聴率が高い日曜劇場にしては、苦戦している。

 しかし、このような企画がシリーズ化されれば、有名ミュージシャンが一堂に集うロックフェスを楽しむような感覚で、日本を代表する脚本家による単発ドラマを楽しむ習慣が根付くかもしれない。今後も、ドラマ界のフェスとして続けてほしい。

 9月14日はいよいよ最終話。トリを務めるのは、テレビドラマは久々の三谷幸喜だ。市村正親が胃がんで緊急入院したため、主演が小林隆に急遽交代するといったハプニングもあったが、それ自体、どこか生のライブを見ているようである。

週刊朝日  2014年9月19日号


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