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環境省の幹部は「除染あと2年」 “放棄”される除染

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「ずさんな除染計画が露呈」と国を提訴も。写真は参院環境委で中間貯蔵施設の建設をめぐる発言について質問を受ける石原伸晃環境相 (c)朝日新聞社 

「ずさんな除染計画が露呈」と国を提訴も。写真は参院環境委で中間貯蔵施設の建設をめぐる発言について質問を受ける石原伸晃環境相 (c)朝日新聞社 

 国は8月1日、除染方針の大転換を打ち出した。これまで除染目標とされてきた空間放射線量「毎時0.23マイクロシーベルト」を突如、目標ではないと強調。個人被曝線量に基づいた除染に転換する新方針を示したのだ。なし崩し的に除染を“放棄”する気か、と被災地で怒りの声が上がっている。ジャーナリストの桐島瞬と本誌・小泉耕平が取材した。

 被災地を切り捨てるような方針転換は、なぜ行われたのか。考えられるのはカネの問題だ。

 11年度以降、国が行う除染には毎年数千億円、計1兆4081億円もの税金が投じられてきた。これは本来、東京電力が支払うべき費用を国が一時的に肩代わりしているという形で、これまでに国から東電に660億円が請求され、414億円が支払われている。

 安倍政権は昨年12月、本来は国庫に戻すべき東電株の売却益を除染費用に充てる方針を決定。最終的に、除染費用は国が肩代わりすることになった。ただ、株売却は20年代後半以降の予定で、それまでは国から東電に「請求書」が回され続ける。元経済産業官僚の古賀茂明氏はこう語る。

「シナリオを描いているのは経産省と電力業界でしょう。東電をつぶさないという大方針のため、国からの請求額を少しでも軽くしようとしている。元来、除染に消極的な環境省は、官邸を牛耳る経産省の方針を追認。交代確実と言われる石原伸晃環境相にしても、電力業界を敵に回してまで本気で除染に取り組む気はなく、確信犯的に表舞台を避けているようです」

 除染で出るゴミの中間貯蔵施設の建設をめぐり、「最後は金目でしょ」と発言する舌禍事件を起こした石原環境相はもはや、レームダックと化し、除染の方針転換の発表を行った時も井上信治副大臣に丸投げして不在だった。

 大臣のやる気のなさに加え、環境省自体の懐事情も影響しているという。環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長がこう語る。

「環境省のある幹部は、『除染にこれほどの予算をかけるのはあと2年ほど』と言っていた。立て替えた巨額の費用を東電から回収できるか疑わしくなっており、廃炉の費用なども考えると、将来、東電株を売却しても足りなくなる可能性がある。除染の規模を縮小したいと考えたのでしょう」

 前出の古賀氏も指摘する。

「7月の集団的自衛権行使容認の閣議決定後に支持率が下がったことで、安倍政権もかなり慎重になっている。目立つことはせず、今回のように基準の数値をあいまいにしつつ、なし崩し的に除染から“撤退”しようとしているのでしょう」

 このままでは、被災地がいつまでも救われない。

週刊朝日  2014年9月5日号より抜粋

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