大学時代は空手道部に所属した菅官房長官。意外にも下戸。最近は危険ドラッグ対策に力を注ぐ (c)朝日新聞社 @@写禁
大学時代は空手道部に所属した菅官房長官。意外にも下戸。最近は危険ドラッグ対策に力を注ぐ (c)朝日新聞社 @@写禁

 集団的自衛権ではミソをつけたものの、依然として高い支持率の安倍政権。その立役者は策士、菅義偉(すがよしひで)官房長官(65)だ。毎日2回の記者会見をソツなくこなしながら、閣内外に睨(にら)みをきかせているのだ。

「菅さんが最も恐れているのが『失言』と『閣内不一致』です。即、政権の命取りになるため、厳しい姿勢で取り締まっています」

 安倍内閣のある閣僚は、本誌の取材にこう話した。

 2012年12月に発足した第2次安倍政権。高い支持率が続く要因に閣僚の失言が少ないことが挙げられるが、“汚れ役”菅氏の存在が大きいという。

「今の第2次政権はタカ派の議員が多く入閣しています。菅さんは中国や韓国から挑発があったとき、閣議などで必ず『各自、思うところはあるでしょうが、勝手な発言は控えてください。特に稲田朋美行政改革相、古屋圭司拉致相』と名前まで出して釘を刺す。おかげで内閣は引き締まった状態が続いています」

 時には石原伸晃環境相の「最後は金目」などの発言が飛び出す。菅氏はすぐに携帯電話を鳴らし、撤回や再度の説明を迫るという。

「新聞や週刊誌から時々、全議員アンケートが送られてきますが、閣僚は勝手に回答できません。菅事務所が模範回答を作成し、それをみなでコピーして返答することになっている。『閣内不一致もダメ』という姿勢です」(前出の閣僚)

 菅氏がここまで徹底するのは、第1次安倍政権での苦い経験がある。菅氏自身総務相として入閣していたが、他閣僚の「女性は産む機械」発言、事務所費問題などが相次ぎ、政権はわずか1年で倒れた。

 菅氏は、安倍晋三首相(59)を「熱心な改革者」と高く評価していただけに、無念さは人一倍。政権を去るとき「安倍さんを5年後、必ず総理にする」、こんな言葉を放ったという。

週刊朝日  2014年8月8日号より抜粋