気温も上がり、すっかりとなったこの季節。夏の定番といえば「甲子園」だが、ゴルフにも“甲子園”が存在すると丸山茂樹氏はいう。
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日に日に夏らしくなってきましたねっ。いま全国各地では夏の甲子園出場を目指し、高校球児たちが熱戦を繰り広げています。実はゴルフにも「甲子園」があるのをご存じですか?毎年夏に開かれる全国高校ゴルフ選手権大会を「緑の甲子園」って呼んでるんです。この夏は8月3~9日に山口・宇部72CCで開かれます。
懐かしいですよ。僕が東京・日体荏原高校にいた1985~87年は、まず個人戦があって、約2週間後に試合会場を変えて団体戦をしてましたね。
1、2年と団体戦で優勝しましたけど、史上初の3連覇がかかった3年のときは、平安(現・龍谷大平安、京都)に負けて2位でした。その年、僕は個人戦で春夏とも優勝したんですけど、やっぱり団体で3連覇したいってのがあったんで、悔しかったです。
でも「緑の甲子園」と言っても世間的な認知度は相当低いですよね。何とか盛り上がってほしいんですけど、結局ゴルフって個人のスポーツってのがありますからね。高校生にとっては夏の日本ジュニア選手権の方が大きな目標になってるのが現実ですし。なかなか「緑の甲子園」が日の目を見るのは難しいかもしれないですね。
最近のジュニア世代を見ていると、スケールの大きさを感じさせる選手が少なすぎる気がします。古くは「ジャンボ」こと尾崎将司さん、最近だと松山英樹のような。ひとことで言うと「デカい」選手ですよね。
例えばヨーロッパだと、基本的に野球って選択肢に入ってきませんよね。これはもう当たり前の話で、競技人口という分母が大きいほど、強い選手が出てくるに決まってますからね。アメリカにもたくさんのスポーツがありますけど、人口が日本の2.5倍いますから。それにもともと体のサイズが違いすぎますから。
ウチの一人息子の奨王(ショーン・14)はロサンゼルスで暮らしてますけど、日本人の中では決して小さくはないのに、向こうの人には「成長が年齢に追いついてないんじゃないか」なんて言われちゃいますから。本人はそれが結構コンプレックスだったりね。
ジャンボさんに、よく言われましたよ。「お前たちみたいな小粒なヤツらに、俺が負けるわけがない」「俺は野球で甲子園行ってるんだ。体力が違う」って。もう「ごもっともです」と言うしかなかったですね。あれだけ強かったから。それに英樹を見てくださいよ。「久々にスケールの大きなのが出てきたな」と思ったら、もう米PGAツアーで勝って、次は海外メジャーをいつ勝つかと言われてる。そういうもんなんですよ。
いろんなスポーツに分散していくのをとどめて、「虎の穴」みたいにして育成したら、日本からでもすごい選手が出てきますよ。それがゴルフでやれたら最高なんですけどねー。
※週刊朝日 2014年8月1日号