今年2月、東京女子医科大病院(東京新宿区)で人工呼吸中の子どもへの使用が禁止されている麻酔薬「プロポフィール」が投与され、2歳男児が死亡した。この医療事故が、マスコミを利用し、院内の内紛に利用されているという。

 3月上旬、両親はあまりに理不尽な息子の死の真相究明を病院に求めた。ところが、ここから不可思議なことが起き始める。その直後から両親の自宅に新聞社や週刊誌のほか、フリージャーナリストを名乗る人物らから、次々と手紙が届き、電話もかかってきたのだ。いずれも「事故隠しを暴くために協力させてほしい」という趣旨だった。

 両親の代理人である貞友義典弁護士が言う。

「手紙には男児の病状まで記されていました。しかも、いずれも耳鼻咽喉科の医師の不手際に関する内容は一切なく、プロポフォールを投与した麻酔医の責任を追及し、理事会の事故隠しを批判していました」

 つまり男児の手術に関与した医師の一部が、耳鼻咽喉科を責任対象から外すような偏った情報を、マスコミに意図的に流している節があるというのだ。貞友弁護士が続ける。

「手術翌日の19日の時点で、すでに男児の心電図には異常が出ていました。ところがプロポフォールの投与を中止したのは21日朝。病院が調査依頼した第三者委員も『投与中止後すぐに人工透析をしていれば、男児の命は助かった可能性があった』と指摘しています。麻酔医がプロポフォールを投与したことは許せませんが、男児の術後管理を担当していたのは耳鼻咽喉科です。その責任はもっと大きい」

週刊朝日 2014年7月18日号より抜粋