施工ミスが発覚した横浜パークスクエア三ツ沢公園の、棟と棟のズレがわかる手すり部分 (c)朝日新聞社 @@写禁
施工ミスが発覚した横浜パークスクエア三ツ沢公園の、棟と棟のズレがわかる手すり部分 (c)朝日新聞社 @@写禁

 2006年8月、耐震強度不足が判明した横浜市内のマンション住民が、強度不足は構造設計や建築確認の審査ミスが原因だとして、建築検査機関などに建て替え費用約14億円を請求する裁判を起こした。12年、横浜地裁は住民側の請求をほぼ認める判決を下したが、13年9月、控訴審の東京高裁で検査機関が約6億6500万円を支払う内容で両者の和解が成立した。

 裁判で建て替えが認められる例は少ないうえ、裁判では補修工事以上に時間がかかってしまう。事実上住民側勝訴となったこの裁判でも、提訴から和解成立まで7年もの月日を要した。

 その間、欠陥マンションで暮らさなければならない住民の不安は大きい。売り主側に補修工事を求めるのか、裁判で争ってでも建て替えを主張するのか、管理組合としても慎重な判断が必要になってくるのだ。

 ところで、欠陥が見つかったマンションに住む住民にとって、「マンションの資産価値が下がってしまうのではないか」という心配も大きいだろう。こうした不安があるため、欠陥だという情報が外部に漏れないよう管理組合の理事会などが抑えて、住民が情報を共有していないケースも意外に多いという。

 実は、これが思わぬ「二次被害」につながりかねないのだ。

 たとえば、共用部分の不具合や欠陥を知らない住民がマンションを売ったとしよう。マンションの売買契約をするとき、不具合などがあれば相手にその旨を告知しなければならない。いったん契約が成立した後で、新しい買い主が不具合を知ることになったら、告知義務違反を指摘され、契約の無効や、さらには違約金の支払いまで求められかねない。

 資産価値の目減りは住民にとって大きな気がかりだろう。ただし、欠陥が見つかったとしても、きちんと補修工事をして安全な建物にすれば、一時的に資産価値は減ったとしても、数年後には普通に売買できる価値を取り戻せることも多いという。

 不具合の発覚から調査、さらに補修工事の終了や最終的な確認検査に至るまで、経過を記した詳細な報告書を組合で作成しておけば、マンションを売るとき、相手側に安全な物件であることを示すこともできるのだ。

週刊朝日  2014年6月27日号