過去には「女性選手はもっとピッタリしたパンツをはくといい」と失言したFIFAのブラッター会長 (c)朝日新聞社 @@写禁
過去には「女性選手はもっとピッタリしたパンツをはくといい」と失言したFIFAのブラッター会長 (c)朝日新聞社 @@写禁

 世間はソチ五輪一色だが、4カ月後、6月12日にはサッカーワールドカップ(W杯)ブラジル大会が開催される。世界的には五輪より盛り上がる大舞台だ。これまでも多くの日本人サポーターが開催地に駆けつけて応援してきたが、今大会は少し様子が異なるという。

「今回は見にいくのをやめようと考えています。というのも、どこの旅行会社に問い合わせても、観戦チケット込みのツアーを売り出していないんですよ」

 4大会連続で現地観戦を続ける40代の男性サポーターが肩を落として話す。いったい、何が起きたのか。W杯を長年取材するサッカージャーナリストの栗原正夫氏が解説する。

「今大会からチケットはすべて国際サッカー連盟(FlFA)を通じて、個人が入手するしか方法がなくなりました。前回の南アフリカ大会までは、JTBなど旅行会社にも割り当てられていたのですが」

 つまり、現地観戦のためには、公式サイトから、チケットを自力で事前に購入しなくてはいけない。

「それも、手続きは英語やポルトガル語など日本語以外。サイトは煩雑で目当ての試合を探しにくい。お金さえ払えば安心して観戦できるツアーを当てにしていた人には正直ムリ」(前出の男性)

 旅行会社も困惑気味だ。JTBはチケットを獲得できた人だけを対象にした「チケットなし」ツアーの販売を開始(1次リーグ3 試合の観戦で178万円)。近畿日本ツーリストは現在、販売を見送っている。

「消費者の立場で考えれば、すべてパッケージになっているほうが便利で安心。(FIFAの対応は)致し方ない」(同社総務広報部)

 なぜFIFAはチケットを独占したのか。

「結局は金稼ぎでしょう。以前はスポンサー企業が販促でチケットをプレゼントすることもありましたが、見かけなくなりました。このため、開幕まであと4カ月なのに、イマイチ盛り上がりに欠けています」(前出の栗原氏)

 FIFAに「独占」の理由について問い合わせると、「チケットの乱用を防ぐため」との回答。ダフ屋やテロ対策ということだろうが、使い勝手が悪すぎます。

週刊朝日 2014年2月28日号