芸能界も巻き込んだ数々の暴力事件で、裏社会のみならず表社会にも名をとどろかせた“半グレ”集団「関東連合」。その2013年は、東京地裁が元リーダーの石元太一被告(32)に懲役11年の実刑判決を下して幕を閉じた。13年7月に『いびつな絆 関東連合の真実』(宝島社)を著した元幹部の工藤明男氏は、かつての“仲間”をこう見つめる。

「裁判で太一が反省を示すことはありませんでした。予想どおりとはいえ、彼が自らの罪と向き合おうとしなかったことは残念な気持ちでいっぱいです」

 12年9月、東京・六本木のクラブで客の男性(当時31)が目出し帽の集団に金属バットなどで襲われて死亡。この「六本木襲撃事件」で、警視庁は石元被告ら関東連合の関係者18人を逮捕したが、主犯格とされる見立(みたて)真一容疑者(34・殺人容疑などで国際指名手配)はいまだ海外に逃亡中だ。

「見立君が逃亡していることもあり、太一は『おれだけが悪いんじゃない』とふてくされているんでしょう。しかし、一審の判決が確定すれば40代まで刑務所。決して短くない日々を自省せずに過ごすのは無意味です。何より、遺族の方々のためにも姿勢を改めてほしいと思います」

 リーダー格の2人を失ったことで組織の終焉(しゅうえん)を指摘する声もあるが、工藤氏は「そう簡単ではない」と言う。

「私も、暴力団に吸収されたり、一般社会への復帰を目指したりして、関東連合は消滅すると予測していました。ですが、振り込め詐欺など知能犯に特化しようとする動きもあります。かつての暴力を捨てることで生き残りを画策するグループも現れてきました」

 海外逃亡中ながら、見立容疑者の影響力も完全になくなったわけではない。

「見立君は関係者に『工藤を殺れ』『裏切り者の家族にも制裁を加えろ』と指示を飛ばし、私は脅迫を受けています。昔なら間違いなく私は殺されていたはずです。私が殺されていないという事実こそ、見立君の権力が弱体化している証しと考えることは可能でしょう」

 改めて関東連合という組織について聞くと、こんな答えが返ってきた。

「生まれ変わったら関東連合には入りません。仲間の悪口を言い合うだけの、くだらない組織でした」
自らの悔恨を込めてそう語る言葉は、ズシリと重い。

週刊朝日  2014年1月3・10日号