駒大苫小牧高時代の笑顔 (c)朝日新聞社 @@写禁
駒大苫小牧高時代の笑顔 (c)朝日新聞社 @@写禁

 楽天優勝の立役者となった田中将大(25)。高校時代にはハンカチ王子こと斎藤佑樹(現日本ハム)との対決で甲子園を沸かせたが、当時の内情を監督はこう振り返る。

 駒大苫小牧高校野球部の新チームでは主将に選ばれた田中。監督だった香田誉士史さん(42)さんは何度かキツく叱ったことがあったという。

「はっきり覚えているのは最後の夏の甲子園ですね。大会に入って、新聞に将大の『150キロの球が投げたい』というコメントが載ったんです。すぐに呼び出し、『本当にこんなこと言ったのか? おまえの150キロに付き合うためにチームがあるんじゃない。最優先すべきは勝利だろう』と怒りました。もっとも将大はそこまで言わず、マスコミにうまくコメントを切り取られたようですが。チームで浮いた存在になっても困るので、叱るべきときは厳しく叱りましたね」

 その夏の甲子園では「ハンカチ王子」こと斎藤佑樹投手を擁する早稲田実(西東京)と決勝、決勝再試合の2試合にわたって熱闘を繰り広げ、敗れた。これも伝説である。

 この2試合とも田中はリリーフでの登板だったが、これは田中自身が強く希望したのだという。

「かなり疲労がたまっていたこともありますが、『途中から投げるほうが一気に戦闘モードに入れる』『もう俺しかいないという崖っぷちの状況のほうが、エンジンがガーッとかかる』というのが将大の言い分でした。それはそれで理解できるのですが、当時は誰もが『斎藤vs.田中』の投げ合いをイメージしていた。期待も大きかった。マスコミには2番手登板について『チーム事情です』と答えましたが、心の中では『まさひろ~』という感じでしたね(笑)。まあでも、そんな厳しい状況で登板しても、しっかり抑えた。その大舞台での経験が、いまのピンチでの強さにつながっているのかなと思いますね」(香田さん)

週刊朝日 2013年11月22日号