多くのメディアを騒がせた、みのもんた氏の息子をめぐる騒動。作家の室井佑月氏が自身の意見を述べた。

*  *  *

 ある方に「週朝、読んでます。みのさんのことについては書かないんですか?」といわれたので書いときます。

 女性が、それほど好きではない男性に触られた場合、どう思うかはその女性次第であります。ゲラゲラ笑うのか、べつに気にしないのか、その場で怒るのか、訴えてやるとまでなるのか。なので、それまでの彼との関係、もしくはその場の状況がわからないあたしにはなんともいえない。

 では、親の責任論について。30歳を超した息子のしでかしたことに、「親を出せ!」と盛り上がる世の中の雰囲気は異常だとあたしは思います。けど、みのさんの息子が週刊誌などで書かれているように本当に親のコネで会社に入ったのだとしたら、それも仕方ないと思います。

 あたしのみのさんへの考えはこのくらいにして、ある方のみのさんへの意見を書こう。

 元首相の菅直人さんだ。菅さんは10月26日、ご自身のブログに「みのもんた氏に対する陰謀説」なる記事を書いた。

「みのもんた氏は汚染水問題など原発問題で東電と安倍総理を激しく批判していた。この発言に対して原子力ムラがみのもんた氏失脚の陰謀を仕掛けたという説が流れている」と。そして、自分もその陰謀にやられた、といっている。

「原子力ムラがスポンサーとして膨大なコマーシャル料を支出することにより、マスコミに対する影響力を行使して、自分に批判的な報道に圧力をかけてきたことは知っている」
「今も原発稼働に慎重な知事や議員を引きずりおろすため、一部マスコミを使ってスキャンダルをでっち上げる陰謀がたくらまれているという、うわさが流れている」

 菅さんは政権交代によって国民が期待した既存勢力をぶっ壊すことを、ぶっ壊したお一人だ。彼が首相でいられなくなったことには、違う理由もあると思う。しかし、そこを抜かしても、元首相のすごい発言だと思う。けど、世間の反応は鈍かった。

 それにしても菅さんは、「(報道への圧力について) 事実、公開された東電のテレビ会議の記録を読めば東電幹部間でのそうしたやり取りが出ている」とまでいっているんだから、そこを調べて後追い取材を掛ける報道があってもいいのに。大スクープじゃんね。圧力をかけられるのはもはや当たり前のことになっているから、そんなことは記事にしないの? 圧力をかけられてきた自分たちの立場を慮(おもんぱか)っているの?

 本当はどうなの? じゃ、調べてみっか、と思い、東京電力のテレビ会議の記録をネットで開いてみたが、ダラダラと長いテープが289本もあった。それを全部見て、その場の会話を正確に文字に起こすなんてことは、素人には無理。マスコミと原子力ムラの関係、なんかもやもやする。と思っていたら、山本太郎議員のニュースが。

週刊朝日 2013年11月22日号

著者プロフィールを見る
室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

室井佑月の記事一覧はこちら