「ぬるま湯イケメンに未来はない」と脚本家 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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「ぬるま湯イケメンに未来はない」と脚本家

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 脚本家の河原雅彦氏は、最近「イケメン俳優」と舞台の仕事をすることになったといい、彼らについて次のように話す。

*  *  *
 少し前の話になるが、この夏は舞台の仕事で『イケメン俳優』と称されるヤングな若者達と長い時間を過ごす機会が多かったので、今回はそんな人達について。

 やー、いいですねぇ、イケメン俳優! なにがいいって、まずは断然カッコいい。

 炎天下の中、連日、劇場前で出待ち入り待ちをする女性ファンに囲まれ、当然のようにたくさんのプレゼントやら、応援メッセージが書かれたお手紙やらをちょうだいして、涼しい顔で楽屋に入ってくる……。う~ん、カッコいい!!

 客席には、オペラグラスを握りしめ、お目当てのイケメンをガン見し、終演後、リピーターチケットの列に直行するファン達。続いて、本番を終えた直後のイケメン達に出迎えられ、笑顔でハイタッチを交わし、うっとり気分で劇場を後にするファン達……。う~ん、カッコいい!!

 ブログやツイッターで、そんなファン達に向けて語りかけるように私生活を公開するイケメン達。時に熱く、時にクールに、そして時にはポエミーに、彼らは今の想いを彼女達に発信していく……。う~ん、カッコいい!!

 ……って、ちょっと待て。別に小腹が出てきたおっさんのやっかみではないが、こういうのって、本人がきちんと分別を持ってコントロールしないと、タレントとして非常に危険な環境にさらされている気がしてならないのだな。

 そりゃ、至近距離で異性にキャーキャー言われたら誰だって悪い気はしないよ。自分のことを応援してくれるかけがえのないファンだもの。大切にして当然だよ。でもね、ホストじゃないんだから。過剰に意識し過ぎちゃいけないと思うの。だって、そこだけを、自分を取り巻く『世間』に限定しちゃったら、若くして向上心の芽を摘み取られることになりかねないもの。

 イケメンにも賞味期限はあるのです。これから確実に訪れる30代40代で充実したタレント活動を送りたいなら、若い頃はしゃにむに訓練に励み、いっぱい恥をかいて苦労した方が絶対肥やしになるわけで。

 もちろん、カッコいいのは大きな才能。彼らを囲むファン達にだってなんの罪も無い。だが、目先の人気を追うばかりに現状に甘んじる“ぬるま湯イケメン”に決して未来はないわけで。どうか彼らには、「騒ぐ方は案外気紛れですよ。イケメンを使って商売してる大人達も、結構打算的ですよ」と、きっちり肝に銘じておいてもらいたい。

 結局、若くしてスターになれる人って、ほんの一握りなんだよね。そんな中でなまじ『イケメン』のレッテルを貼られてしまった男の子達は、むしろそれがこの先、足かせになっていくことだって十二分にあるんスよ。

 とはいえ、彼らの名誉のために言っておくと、自分の置かれた状況を冷静に把握し、危機感を胸に努力を惜しまぬ賢くて健気なイケメンもいっぱいいるのです。大変僭越ながら、そんな若者達が将来多くの人々に愛され続ける真のタレントに成長していくことを、祈ってやまない今日この頃なのです。

週刊朝日 2013年11月8日号


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