「あなたは『キャプテン続けるなら殴られてもいいんだな』と息子に言いましたね」

「はい。本当に申し訳ありません」

 消え入るような小さな声になる小村被告。母親は男子生徒が自殺した後のことにも触れ、「学校から止められているとか、体調が悪いといって、弔問に来なかった。息子の兄が連絡して初めて来た」。こう指摘すると、小村被告はうなだれるように認めた。

 公判ではほかにも、小村被告が男子生徒だけではなく他の部員にも暴行していたことや、教師になった24年前からずっと体罰指導を続け、桜宮高校で教諭だった妻も体罰を容認していたこと、部員以外への体罰で学校から指導されると部員限定で体罰を続けたことなど、次々ととんでもない事実が明かされた。

 公判終了後、男子生徒の両親は記者会見し、母親は法廷で明るみに出たこと以外にも、さらなる体罰があったと話した。「小村被告は、部員を倉庫で隠れて殴っていた。通称倉庫インと呼ばれていた。息子は倉庫の中からドンドンと音がするし、鼻血を出していたりするのでわかると話していた」。

 そして、こう訴えた。「謝罪に来たのも2度だけです。法廷を見ても、まったく反省していない。暴行傷害罪ではなく、傷害致死罪だ。許せない」。

 検察は懲役1年を求刑し、結審した。判決は9月26日に言い渡される。

週刊朝日 2013年9月20日号