宋:「よし、健康になるためにセックスをしよう!」っていうのは、本末転倒ですよね(笑い)。セックスは健康のための道具ではないけど、した結果として身体の調子がよくなるなら、それはそれですばらしい。

岡田:男性も女性も「できない」状態になるとつらいですからね。

宋:肉体的に「できない」場合と、パートナーがいなくて、または受け入れてくれなくて「できない」場合とがありますね。男性にとっての前者はEDですが、予防はできるものでしょうか?

岡田:EDの原因は心因性のものも含めてさまざまなので一概には言えませんが、継続的に勃起させるとEDになりにくいです。そうしないと、海綿体に血液がいかずにどんどん縮むので、ペニス自体が小さくなってしまうんですよ。

宋:日ごろから刺激すればいいのですか?

岡田:そう、マスターベーションでも構いません。勃起させ続けるとサイズが大きくなるし、ペニスが元気になるし、いいことだらけ。これは前立腺がんで手術をした人に「海綿体リハビリテーション」として行う治療でもあるんです。手術の前から始めますが、強制的に勃起させることで、術後は性機能のみならず、尿禁制の回復も早くなります。

宋:性欲は男性ホルモンの一つ、テストステロンに司られていますが、年齢とともにこの分泌量が減ると、同時に性欲も低下しませんか?

岡田:減りますね。これは適度な筋トレで、ある程度カバーできます。運動で上昇したテストステロンは性欲にも作用し、よいサイクルが回り出します。

宋:女性の場合、閉経や、それと前後して起こる更年期障害を境にして、セックスから遠ざかる人がいます。つらいこの時期を乗り越えたいなら、ホルモン補充療法が簡単でいいですよ。急激に女性ホルモンが減ったことで起こる、さまざまな不調に効果的です。性交痛で悩む人には、女性ホルモンの一種、エストロゲンのタブレットを膣に挿入したり、塗り薬として塗布したりします。したい欲求はあるのに、濡れないから、または痛いからセックスできず、そのまま引退してしまうのは悲しいですもんね。

岡田:宋さんはED治療薬の「シリアス」を女性に勧めることもあるそうですね。

宋:女性がシリアスを飲むと性器に血が集まるので、濡れやすく、感じやすくなるんですよ。セックスを積極的に楽しみたいけど、濡れなくてつらいという女性に、4分の1錠を飲んでもらいます。実際に利用している女性はまだ少数ですが、一度体験した人のリピート率は高いですよ。

週刊朝日 2013年8月2日号