同じ布団で唇を重ねるだけで幸せ 74歳女性の恋愛 (1/3) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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同じ布団で唇を重ねるだけで幸せ 74歳女性の恋愛

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週刊朝日#男と女
美雪さんを初めて旅行に誘ったときの和雄さんの手紙。冬の蔵王とあって防寒対策に細かく触れている(撮影/大嶋千尋)

美雪さんを初めて旅行に誘ったときの和雄さんの手紙。冬の蔵王とあって防寒対策に細かく触れている(撮影/大嶋千尋)

 恋愛や性に関する話題は、若い世代に限ったものではない。中高年の間でももちろん恋愛はある。だがそれは若いころのとは少し形が違うようだ。夫と死別した74歳の実話をお送りしよう。

 真冬の蔵王。地吹雪の夜、ホテルの和室に布団が2組、敷かれていた。二人の男女は、ごく自然に同じ床へ。すると、男性が少しおどけて切り出した。

「2年も待たされてるうちに僕は古希を迎え、すっかりダメになっちゃったよ」

 女性はわざと口をとがらせて言った。

「まあ、ひどいわ。それは私のせい?」

 次の瞬間、二人の笑い声がはじけた。そのままそっと唇を重ね、肌を寄せ合う。互いのぬくもりを十分に味わった後、それぞれの布団に戻り、眠った。

「こんなに幸せで、それ以上は必要ないと。だから私たちの間に、体の関係は一度もありませんでした」

 関東地方に住む美雪さん(74歳、仮名)は、今は亡き恋人と初めて旅行した8年前を振り返り、目を細めた。二人が出会ったのは10年前、谷川岳へのバスツアーだった。美雪さんが仲間とレストランで夕食を囲んでいると、別の席で一人食事する和雄さん(仮名)が目に入った。どこかさみしげで、つい「よかったらご一緒に」と声をかけた。

 和雄さんは、谷川岳はすでに他界した妻の愛した場所だった、と明かした。美雪さんも夫の三周忌を済ませた直後だった。ツアーの別れ際、「写真を送りたい」という和雄さんに、住所を教えた。その後、和雄さんから手紙が頻繁に届き始めた。


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