作家の亀和田武氏が昨今の男性向け週刊誌『週刊ポスト』などについて、こう分析する。

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 死ぬほどSEX。若者向け雑誌の煽り文句と錯覚しそうだが、じつはこれ「週刊ポスト」(小学館)が何週にもわたり継続中の人気シリーズ名だ。対する「週刊現代」は“死ぬまでセックス”。すごいでしょ。60歳からが男盛り。80歳まで生涯現役。中高年を鼓舞するタイトルが毎週ならぶ「ポスト」だが、6月28日号“20代を抱いて死にたい”特集は、さすがに批判殺到だったようだ。

 色ボケ。勘違いジイさんは鏡で自分の姿をみろ。女性読者は怒る怒る。若い男性読者からも「終わったジジイはとっとと枯れればいい」の声が多数届いたという。

 それでメゲる「ポスト」ではない。7月12日号には「年寄りは『夢見る』ことさえ悪いのですか?」の大見出しがのった。職場で若い女子社員に悩みを相談され、簡単なアドバイスをすると「そっか~。そうですよね。」と明るい表情になった。自分はまだまだ必要とされている。生きる気力が湧いたという63歳男性の声が紹介されている。

 年の差婚の多いフランスでは、夫の死後に、妻は若い男と関係を持つ。「若いときは年上の男・女と付き合い、年を取ると今度は若い相手を求める。彼らはセックスを通じて文化の伝承をしていた」と仏文学者の鹿島茂さん。性を通して、若い世代に文化を伝える。なるほどねと思う。「ポスト」は一方で、朝ドラ『あまちゃん』の特集も4週連続で組む。

 アキ、春子、夏ばっぱの女3代を描く『あまちゃん』。駅に隣接したスナックには、琥珀マニアの勉さんもミス北鉄のユイちゃんもいる。爺さんと熟年と少女が狭い空間で仲良さげに暮らすユートピアが『あまちゃん』だ。“死ぬほどSEX”と『あまちゃん』が同居する謎がとけた。

週刊朝日  2013年7月26日号