年間1億円以上の報酬を受け取った役員の氏名と金額を開示する。この制度が上場企業に義務付けられて4年目を迎えた。東京商工リサーチのデータをもとに「『高額報酬』トップ100人」をランキングにまとめ、今年の傾向を分析した。

「昨年は、退職慰労金の比率が高い人が上位5人のうちカルロス・ゴーン氏(日産自動車)を除く4人を占めました。今回の特徴は、業績を反映して報酬を算出する企業が多くなっていることです。アベノミクスによる円安効果などで業績が上向いているのでしょう」(東京商工リサーチの坂田芳博課長)

 たしかに、日産や武田薬品をはじめ、アベノミクスの追い風も受けて業績を伸ばした企業が目立っている。

 今回ランキングの対象となったのは、今年3月に決算した企業2484社だ。そのなかで、12年度の報酬が1億円以上だった役員は301人にのぼった。前回よりも6人増えて制度開始以来、最多だった。そのうち7割の218人が2年連続で1億円以上を受け取っている。

 もうひとつの特徴が「外国人役員」だ。今回は、外国人役員の名前が上位に並ぶようになった。前回は上位30人のうち外国人は4人だったが、今回は6人に増えた。1~3位を独占したのも外国人だ。この背景には、日本企業の「攻め」の姿勢があるという。

「長く続いた円高を武器に、多くの日本企業は海外企業のM&A(企業合併・買収)を行ってきました。これからは海外市場で勝たないと成長はあり得ないからです。報酬を世界基準に合わせて、積極的に海外の組織力を利用しようとしているのです。これはいい傾向でしょう」(企業統治などが専門の早稲田大学の久保克行教授)

週刊朝日 2013年7月26日号