株式市場は、相変わらずのアベ相場で大にぎわいだ。この勢いでデフレ脱却も。そう考えた大物エコノミストはバブル超えとなる「日経平均4万円説」を唱え始めた。経済の低迷が続いた「失われた20年」を取り戻す動きとなるのか。日本株は大きな山を登り始めたのか。

 大手ネット証券、マネックス証券の松本大(おおき)社長が興奮気味に語る。

「デフレを容認していた国が、緩やかなインフレを維持する政策に変えた。これは、ギアを1速から2速に入れるレベルじゃなく、バックから前進ギアに入れるようなもの。日本経済の土台がガラリと変わるんですよ。過去の上昇相場とまったく質が違う」

 黒田東彦(はるひこ)総裁率いる日本銀行の新体制は4月4日、「異次元」の金融政策を打ち出した。証券業界では、歴史的な大転換となるデフレ脱却への強い意思を感じた人が多いようだ。「バブル崩壊後、『失われた20年』と言われるけど、その根幹となっている問題に向き合ったということです」(松本社長)。

 日本株は谷底を脱し、ようやく目の前の大きな山を登り始めたのだろうか。

 こうしたなか、バブル高値を超える「日経平均4万円」説も飛び出してきた。唱えているのは、ドイツ証券アドバイザーで武者リサーチ代表の武者陵司氏だ。こう話す。

「日本人は著しい悲観に支配された魔界に住んでいた。金融政策でデフレは終わる。自動的に成長率は高まり、脱デフレで日経平均2万円、その後の改革進展で3万円から4万円も視野に入る」

 長期円高と、株や不動産などの資産価格の下落。こうしたことが企業に賃下げの圧力をかけ続けたという。「その是正に合わせたアベノミクスは妥当」(武者氏)。

週刊朝日 2013年5月3・10日号