週刊朝日(3月29日号)のスクープで「やらせ受験」が発覚した大阪産業大学(大阪府大東市)。取材に一切応じない姿勢を見せているが、その対応の舵取りをしているのは、大学に天下った警察OBだった――。ノンフィクションライターの西岡研介氏と週刊朝日取材班が追及する。

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 大産大の常務理事であり、法人本部事務局長の重里政司氏は1968年に大阪府警入りし、広報課調査官、国際捜査課長などを経て2004年、警視正に昇任。生活安全部参事官、警察学校長などを歴任し、10年3月25日付で退職した。そして、その1週間後には大産大法人本部の「内部監査室長」に天下りしている。大産大現役職員が語る。

「重里氏はもともと産高(大産大附属高校)のOB。古谷(七五三次)前理事長の教え子で、『内部監査室』設置の際に古谷前理事長が迎え入れたのです」

 この重里氏、現職時代から大学と“親密な関係”にあったという。今度は大産大の元幹部職員が証言する。

「重里さんが国際捜査課長のときのことですわ。『国際問題に強い』いうことで、母校の産高や大阪桐蔭から講演に呼ばれたんです。その際、ベンツで学校に乗りつけてきはったんで『おまわりさんって、えらい羽振りがええんやな』と思いました。ゴルフも何回か一緒に行きましたよ。02年5月の連休のときは、大産大から古谷前理事長や総務部長ら4人、府警から重里さんと部下の若いおまわりさんら4人の2組で、コースを回りました」

 こうした“蜜月ぶり”が根底にあるのだろう、重里氏が大産大に天下った後、後輩の警察OBが次々と招き入れられたのだという。「重里氏の後釜の『内部監査室長』には、奈良県警OBの山口晶三氏が就きました。また問題となっている『入試センター』や法人の管理課にも、後輩の府警OBが複数人、天下りしています」(先の現役職員)。

 重里氏は本誌の直撃取材にこう答えた。「(現職時代に前理事長らと)ゴルフに行ったのは事実やけど、あくまでもプライベートのもので接待などではない。(自分たちの分の)プレー費は自腹で出してますよ。ベンツの話は、中古のマイカーです。(今回の問題については)第三者調査委員会の結果が出れば、それをふまえて学長が会見を開くと思います」

週刊朝日 2013年4月5日号