2013年の私大入試では、各大学で薬学部の志願者数の増加が目立つ。一方で法学部はふるわず、名門大でも志願者を大きく減らしている。

 定員100人の慶応大薬学部薬学科には今年、昨年より1割多い2070人の志願者が集まった。北里大薬学部薬学科も150人の定員に対し、前年同期の1488人を大きく超える1745人が志願。各大学で薬学系統の志願者数が増えている。教育情報に詳しい大学通信の情報調査・編集部サブリーダーの安部芳治氏はこう分析する。

「昨年、薬学部は6年制になって初めての卒業生を出したのですが、彼らの就職率が非常によかったことが大きいですね。4年制から6年制に移行したばかりで一時的に薬剤師の供給不足が生じているという事情があるので、これが続くとは言い切れませんが、就職がいいと受験生が集まる傾向は明らかにあります」

 一方で、人気の低下傾向が続いているのは法学部だ。早稲田大法学部は今年、志願者数が5千人を割り込み、4967人になった。明治大法学部も前年より301人減り、今年は4435人になった。「名門」の中央大法学部でさえ、昨年の7531人から7180人へとわずかに減った。こうした傾向について、リクルート進学総研の小林浩所長はこうみる。

「ロースクール(法科大学院)の不人気が影響していますね。法学部からのロースクール入学者は、他学部出身者よりも1年早く卒業できるメリットはあるものの、司法試験に合格しても弁護士事務所などの採用枠は増えないし、企業に就職しようにも法務担当者の採用は少ないんです」

 薬学部、法学部両者の明暗は就職の状況と密接にかかわっているようだ。

週刊朝日 2013年3月8日号