野党になってから、何をしているのかさっぱり伝わってこない民主党と海江田万里代表(64)。確実なのは年中行事の“脱走兵騒動”が今も続き、党勢がさらに先細りしていることだ。

 2月22日には川崎稔(51)、植松恵美子(45)両参院議員が離党届を提出。2人の離党により、自民党の83議席に対して85議席と、党にとって唯一のよすがである参議院第1党の座すら危うくなっている。

「2人の選挙区は佐賀と香川で1人区。しかもともに改選期。今の情勢で、今夏の参院選で勝てるわけがない。離党しても民主党に積極的に弓を引くわけじゃないから、まあ仕方ないよ」。こう力なく話すのは民主党幹部だ。与党でなくなった党執行部に、引きとめる力などないというわけだ。

 こうした状況をほくそ笑んでいるのが、もちろん自民党だ。「まだ離党は続くだろうね」と、ある首相側近は予言する。「川崎さんも植松さんも、われわれが離党すると読んでいた参院民主7人のうちの2人。すでにリストがあって予想どおりの動きだ」。

 残りは5人。そのうちの一人は、「どうせ民主党で出ても勝てないから、日本維新の会から全国比例で出られないか検討している」と離党意欲を隠さない。

 今の自民党に、勝手にコケてくれる野党第1党の動向などどこ吹く風。最大の懸念は、交渉参加表明が目前のTPPで、対策はもっぱら党内向けだ。気がつけば永田町はいま、昔ながらの自民党一党独裁の風景に戻りつつある。

週刊朝日 2013年3月8日号