1月8日、記者会見で謝罪する市教委委員長(中央)ら (c)朝日新聞社 @@写禁
1月8日、記者会見で謝罪する市教委委員長(中央)ら (c)朝日新聞社 @@写禁

 大阪市立桜宮高校の男子バスケットボール部主将が顧問の教諭から体罰を受け、自殺した問題。この教諭の体罰が常態化していたことが明らかになっている。

 教諭が顧問についてから、同校は頭角を現す。ここ5年間では、インターハイに3回出場。その指導力が評価され、2012年度には16歳以下の男子日本代表チームのアシスタントコーチにも選ばれている。

 しかし、最近は教諭本人に“焦り”のようなものが見えたと周囲は言う。

「全国で勝てなくなって、かなりいらついていた。張り手の頻度も増えていた」(現役部員)
「壁にぶち当たっているような節があった。『いい成績を残さないと異動させられる』と気負った様子もあった」(他校の監督)

 それでも、バスケ部には輝かしい実績があった。このため、教諭は校内では“不可侵”の存在になっていたようだ。教育評論家の尾木直樹氏はこう指摘する。

「スポーツ中心の学校の場合、部活動で成果をあげなければなりません。勝利が最優先され、先生も生徒も、保護者までもが勝利という目的に向かう特殊性が生まれます。そこでは、1回戦負けの部の先生は、全国出場の部の先生に意見できなくなる。1人の先生が18年以上同じ学校に居続けるという人事も、教育現場では『例外中の例外』です」

 市立学校の人事権は市教委にあるので、市教委もこの“不可侵状態”を容認してきたといえる。そのためだろうか、学校と市教委には、体罰に対する危機感が、絶望的に欠けていた。

 Aくんが自殺した4日後に実施した体罰に関するアンケートは、ほぼ半月もの間、集計せずに放置されていた。今年1月8日の記者会見後に、慌てて集計をするというお粗末ぶりだった。

週刊朝日 2013年1月25日号