地中海の国々で好んで使われるオリーブオイル。料理研究家の柳谷晃子氏は、「食す」だけではないオリーブオイル活用法を教えてくれた。

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 私とオリーブオイルとの運命的な出会いは1998年。通っていた料理学校の主催で、作曲家プッチーニの生誕地として有名なイタリアのルッカでホームステイをしました。

 お世話になったパルディニ家で朝、ご飯を食べに行くと、食堂の前でお父さんが右手にオリーブオイル、左手に大さじを持って立っていて、「起きたらまず飲みなさい」と言われました。これから一日、食事をするんだから、胃の粘膜を守ろうよ、というわけです。

 最初は「油を飲む」ことに違和感がありましたが、お父さんが断固とした姿勢なので試してみると、油という感じがほとんどせず、毎日健やかに過ごせました。

 オリーブオイルはマッサージオイルとしても使われてきました。やけどや日焼け、打ち身、腱鞘炎、ねんざなど、冷やさなければいけない痛みにも効きます。

 日本でも医薬用のオリーブオイルが売られていますが、私はエキストラバージンオリーブオイルの安いものを愛用しています。ポイントは一度、冷凍すること。冷凍するとオイルの結晶が分解されて、肌によく浸透します。見た目では変化の具合はわかりませんが、常温に戻して使うとベ夕べタしにくく肌へのなじみがよくなるんです。

週刊朝日 2012年12月28日号