日本大使館の前で繰り返される反日デモ (c)朝日新聞社@@写禁
日本大使館の前で繰り返される反日デモ (c)朝日新聞社@@写禁

 日中間の領土問題が深刻化し、中国では激しいデモや一部で暴徒化する人々の姿などが伝えられた。この問題が長引くと、懸念されるのが中国との経済面での関係だ。すでに中国では日本商品の不買運動なども伝えられているが、そうした動きは日本企業にどのような影響を与えるのだろうか。

 SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミストによると、中国に進出している企業には、三つのタイプがあるという。

(1)中国の消費者を相手にしている企業(自動車、小売りなど)、(2)中国の企業を相手にしている企業(工作機械など)、(3)中国に進出したノキアなど欧米の企業に部品を納める企業(電機、半導体など)だ。

「不買運動でまず影響を受けるのは(1)です。(2)は日本製品を使用しても見た目にはわからないため、中国人の経営者はそこまで厳しくならないでしょう。しかし、通関検査を厳しくされて製品の納入に時間がかかるようになれば、(3)と同様に痛手を受ける。通関検査強化の長期化がいちばん怖いと見ています」(牧野氏)

 天津港の税関は9月19日、「日本国を原産とする製品について、検査率を上げる」と通告。この通関検査の厳格化が長引けば、台湾や韓国の製品に取り換えられる可能性も出てくるという。

週刊朝日 2012年10月12日号