20年近く昭和天皇の身辺警護をしたという元皇宮警察護衛官の安西香さんは、昭和天皇は隠し事が嫌いで、これまで唯一叱られたのが小さい声で話をした時だと話す。そして昭和天皇は声の大きい豪放磊落な性格だったとも。皇室の方々の話し方について、安西さんはこう言う。

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 昭和天皇ご自身も、お若いころから声が大きかった。数メートル離れた場所にいるわれわれの耳にも、陛下が香淳皇后に向かって、「良宮(ながみや)、これは××という花だよ」などとお話しされている内容がはっきりと響いてきました。陛下のご出発をお待ちしているときでも、壁や廊下の向こうから昭和天皇の話し声が近づいてくるので、無線を聞かなくても「ああ、いらっしゃった」と知ることができました。

 いまの天皇陛下はお声も控えめで、昭和天皇とはまた違う雰囲気をお持ちです。これに対し、皇太子さまは声は大きくないのですが、話し方や雰囲気は昭和天皇に似ておられますね。

 一方、秋篠宮さまの話し方はざっくばらんで、思ったことをストレートに口にされます。2004年に、皇太子さまが「雅子のキャリアや人格を否定するような動きがあった」と発言なさったとき、秋篠宮さまがのちにあった会見で、「少なくとも記者会見という場所において発言する前に、せめて陛下とその内容について話をして、その上での話であるべきではなかったかと思っております」と"苦言"を呈されたのも、こうした性格によるのでしょう。

週刊朝日 2012年10月5日号