東京都目黒区碑文谷の高級住宅街で、母親が保育園児の三男・重田滉史(こうし)くん(5) にゴミ袋をかぶせて窒息状態にした事件は、最悪の結末を迎えた。5日朝、滉史くんは入院先の病院で亡くなったのだ。

 殺人未遂容疑で逮捕された母親の重田史都(しづ)容疑者(41)の夫は、銀座やお台場などで飲食店を展開する会社社長。滉史くんは長男(13)、次男(9)、長女(3)の4人きょうだいで、両親、祖母と7人で暮らしていた。

 悲劇が起きたのは9月2日昼過ぎ。手足を縛られた滉史くんが頭と足から2枚のゴミ袋をかぶせられ、粘着テープで袋をつなぎ合わされ窒息状態になっていた。3階にいた夫が次男の知らせを受け発見した。捜査関係者によれば、史都容疑者は次男にも犯行を手伝わせていたという。

 史都容疑者は長野県出身で、地元の名門県立高校に進学。家は代々、時計・メガネ・宝石の商売を営んできた。親族の一人が言う。

「彼女は一人っ子で、両親にかわいがられて育った。クラシックが好きなお父さんの影響で音楽が好きでした。顔立ちもかわいく上品で、勉強、部活と何にでも人一倍頑張り屋でしたよ」

 ここに史都容疑者の「3年生 最後の一言」と題された高校の文集がある。

〈気付かないうちに、けれど確かに、息をしていたものがありました。今はまだ、弾けるまでに、時が要りそうですけど、それに命を与えて下さった方々に、本当に感謝しています〉

 とらえどころのない文章だが、それが彼女の本質だったのか。

※週刊朝日 2012年9月21日号