今年6月、消費増税関連8法案が衆院で可決した。出口の見えない日本経済に起死回生の「特効薬」はあるのか? 経済アナリストの森永卓郎氏は「このままいけば2015年までに、間違いなく日本は震災恐慌に陥る」と指摘し、そのシナリオを次のように話す。

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 日本国内でデフレが続き、日本の輸出業の市場だった中国の経済成長も落ちている状況で、野田政権は増税政策に踏み込もうとしています。このままいけば消費税率が10%に引き上げられる2015年までに、間違いなく日本は震災恐慌に陥ります。

 というのもこの時期までに、さまざまな増税策がのしかかってくるからです。

 まず、6月には15歳以下の子どもがいる家庭の住民税を減額してきた「年少扶養控除」が廃止されました。さらに、来年1月からは震災復興のための復興増税が始まります。財源を確保するために25年間にわたり所得税が2.1%、14年6月から10年間にわたり地方税である個人住民税が上乗せされます。サラリーマンが加入する厚生年金の保険料は毎年上がっていますし、電気科金の値上げも待ち構えている。すべて加算されれば、年収500万円の標準世帯で年間28万円持っていかれる計算になります。どこの家庭でもこれは想像を絶する痛みとなり、今まで以上の極端な格差社会に陥ります。

 デフレから脱却できず、経済成長もなければ、われわれを待ち受けるのは昭和恐慌を彷彿させるレベルでの大恐慌です。大学は卒業したものの失業者であふれ、ローンを払えず家を手放す人であふれかえる結果となるでしょう。

※週刊朝日 2012年8月17・24日号