与野党の関心は現在、今国会中の衆参解散の可能性と、9月の民主党代表選、自民党総裁選にも向けられている。7月22日に引退を表明した森喜朗元首相(75・当選14回)が表明したのは、谷垣禎一総裁(67・同10回)の続投だった。

 普投、谷垣氏の党運営に厳しい森氏から支持発言が飛び出したわけだが、当の谷垣氏はむしろ困惑気味だ。26日の会見で「再選にはずみがつくのでは」と問われると、「そういうことよりも、今まずやるべきことをやろうというほうが頭にある。今おっしゃったようなことに、含蓄ある表現で答えることはできない」と言葉を濁した。

 一方、森発言に小躍りしたのが、同じ町村派の安倍晋三元首相(57・同6回)のグループだった。戦後、首相経験者が再登板したのは、占領下の吉田茂元首相だけ。それでも安倍氏は意欲を隠さない。

「派閥を割りたくない森さんから、『そのうち必ず君の出番が来るから自重しなさい』と言われ、安倍さんは押えつけられてきました。今回、森さんは『町村支持』とは言わなかった。これでうちはフリーハンドになりました」(安倍氏側近)

 橋下徹大阪市長(43)と話ができることも、安倍氏の"ウリ"だ。

 菅義偉元総務相(63)や世耕弘成元首相補佐官(49)、衛藤晟一参院幹事長代行(64)ら安倍政権の"幕僚"たちは「夢よもう一度」と腕まくりをしている。

※週刊朝日 2012年8月10日号