再び動き出した関西電力の大飯原発(福井県おおい町)の3号機と2号機の間を、斜めに横切る断層がある。

「F-6」と呼ばれるこの断層が、いまや大きくクローズアップされているのをご存じだろうか。「活断層である可能性を否定できない」として、複数の専門家が再調査を求めている。ところが、国や関西電力がこれに応じていないのだ。

 F6断層の具体的な危険性を訴えるのは、東洋大学の渡辺満久教授(変動地形学)だ。

「もし地震で地盤がズレて、非常用取水路が破損すれば、緊急時に原子炉を冷却できなくなるおそれがあります」

 再調査を求める声は専門家以外からも聞こえている。

 大飯の再稼働に反対して民主党を離党した平智之衆院議員らが、F6の再調査を野田佳彦首相らに求める要望書への賛同を7月9日から募ったところ、3日間で100人を超す国会議員が署名した。

 白か黒か。決着をつけるには、写真や図面をもとに考えるのは時間の無駄で、「掘って確認すればいい」と渡辺教授は言う。

「保安院は関電に写真を出せなどと言っていますが、色の具合とか、余計な情報に引きずられることがあるので、写真で活断層かどうかを確認してはいけないのは我々の常識です。専門家がこの目で見ればはっきりする。その結果、活断層でないとわかったら、それはそれで安心できるじゃないですか」(渡辺教授)

※週刊朝日 2012年7月27日号