週刊朝日7月13日号の記事により、脱税疑惑や脱法重婚疑惑が明らかになった元国税庁長官・大武健一郎氏(66)が、6月29日、週刊朝日のインタビューに応じた。

 しかし、そのインタビューには弁護士とともに東京国税局調査部に所属するエリート特別調査官のW氏が同席した。W氏が取材に口を挟む回数は弁護士よりはるかに多く、早口でたたみかけるような口調で、大声だった。たびたび、「国税庁長官を務めた人間の申告漏れとなれば、大きな問題になります。よくよく調べてから記事にしてもらわないと」と言葉は丁寧だが、高飛車なもの言いを繰り返した。まるで、記事掲載を見送らせるための"胴喝"のようだった。

 インタビューの終盤になると、W氏と弁護士ははっきりと「掲載の見送り」を迫ってきた。

「ご夫婦の話に口出しするつもりはないが、記事が出てからじゃ全然、遅い。我々はすべてのデータを目で確認してない。本当に申告漏れがあったかを調べるため、奥様が2年間かけて作ったデータのすべてを見せていただかないと。通帳の現物、確定申告書などもすべて突き合わさなければなりません」(W氏)

 国税庁に対し、W氏の同席問題について質問をすると、国税庁報道係は書面でこう回答した。

「元秘書ということで日程などを確認するため、大武氏から要請され、年次休暇を取得し、同席した。当方としても、(同席は)報道を見て初めて知ったものであり、指示したものではない。同席は誤解を招きかねず、不適切であったと認識しており、厳正に対処したい」

※週刊朝日 2012年7月20日号