政権交代してもこの国は何も変わらず、政治や政党への不信感は募るばかりだ。そんな国政の惨状を尻目に、「30代目線」で地域をぐいぐい引っ張る若手市長が相次いで誕生している。その代表格である山中光茂・松阪市長(36)、倉田哲郎・箕面市長 (38)、谷俊人・千葉市長(34)が座談会を行った。その中で、橋下徹・大阪市長(42)への評価が話題に上った。

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山中:橋下徹さんをどう評価していますか。

倉田:僕は同じ大阪にいて、お二人より間近で見ていますが、橋下さんは大阪市長でありながら橋下徹であり続けている。そこがすごい。例えば、市役所で不祥事が起きたら市長は「申し訳ありませんでした」と謝らないといけない。それは当然ですが、一方で腹も立つ。「なんでこんなことやったんだ」って。そういうときに橋下さんは、謝罪だけでなく、俺はこう思ってるというメッセージも発信する。そうしないと、市長が何を考えているのかが市民に伝わらない。新しいスタイルだと思います。

熊谷:歴史に残る人だとは思いますよ。これまでの政治家が逃げ続けてきた課題をブルドーザー的にやっていますからね。ただ、国民の精神に対する悪影響は大きい(苦笑)。政治や行政はそう簡単にはよくなりません。でも、橋下さんは見せ方がうまいから、短期で成果が出せるという誤ったイメージを国民に与え、すぐに悪者捜しをする風潮に拍車を かけた。国民はプロレスを見るような気持ちになり、スーパーマンに白紙委任すればうまくいくという無責任な民意が助長されている。全国に、橋下徹っぽくやろうという政治家を生み出してもいます。

倉田:たしかに「橋下徹の劣化コピー」を目指す人は多いですよね。(苦笑)

※週刊朝日 2012年6月29日号