日経平均株価が8500円を割るなど、ここ数カ月で大きく値を下げている日本株。これは欧州の財政危機によるものと考えられる。しかし実は「世界経済の2強」である米国と中国の問題が原因なのではないか、という見方が出始めている。

「2強」の一方の中国は成長が鈍化しており、もう一方の米国も先行きは明るくない。リーマン・ショックまでは、海外から集まるお金を元手に世界中からモノを購入し、世界経済を支えてきた。空前の金融緩和など必死の対応を行ってきたものの、4年経過した今でもその効果は限定的だ。

 投資家が驚いたのが、6月1日に発表された雇用統計だ。失業率は8.2%と悪化し、雇用回復の減速が鮮明になった。

「リーマン・ショックの傷はまったく癒えていません。震源地の住宅市場も回復していない。財政赤字も膨らんでおり、これ以上の財政出動は無理でしょう。金融政策はゼロ金利。もはや打つ手は少なくなっている」(豊島逸夫マーケットアナリスト)

 残された手段はお札を刷るだけ。モノが増えないのに紙幣が増えれば、悪性のインフレがやってくる。それでもQE3(量的金融緩和第3弾)に突き進む可能性は高いという。大統領選が11月に予定されるためだ。

「オバマ大統領は再選のために、なんとしても景気を上向かせたいと考えているでしょう」(豊島氏)

 結局は「バラマキ」に頼るだけ。財政赤字が膨らんで国の信用がなくなり、国債が暴落すれば、国ごと倒産しかねない。

※週刊朝日 2012年6月22日号