ここ最近、話題に上る原子力発電所から出る「核のゴミ」の処理費。しかし、その費用を太陽光発電設置に使えば、各家庭にもメリットを享受し、原発廃止によるエネルギー不足の解消にもつながると、ニュースキャスターの辛坊治郎氏は提案する。

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 最近時折、原子力発電所から出る「核のゴミ」の処理費見通しが新聞紙上を賑わす。将来の原発の使用状況など、試算の前提は様々だが、おおむね10兆円前後の金額が目に入る。考えてみよう、10兆円あれば何ができるかを。太陽光発電設置に1世帯当たり100万円の補助を出すとする。10兆円あれば、1千万世帯に給付可能だ。1千万世帯が、この補助金を使って各々3キロワットの太陽光発電装置を設置すると、計算上の最大出力は3千万キロワットだ。夜や雨天などを考慮して発電効率10%なら、年間通じて得られる総電力量は原発3基分ほどに過ぎないが、電力需給の逼迫(ひっぱく)する夏の晴れた日の午後には、原発20基分以上を代替する。

 燃料費は要らず、電気代の上昇もなく、中東の混乱の影響も減らせるこの手法は、賃貸アパートに住んで補助を受けられない世帯にも十分メリットがあるのではないか。「夢」として語る価値のある話だと思う。

※週刊朝日 2012年6月15日号