低レベルの優勝争いになった大相撲夏場所の土俵とは裏腹に、親方たちの"真剣勝負"が熱を帯びてきた。

 13日目(5月18日)の結びの一番の数時間前、すべての親方らで構成される評議員会が国技館で開かれていた。

 議題は来年11月に申請期限が迫る、日本相撲協会の新公益法人移行のための組織改革案。最大のポイントは、「親方株」を協会が一括管理するために「特別功労金」という名目で買い取る話で、その金額に親方たちが納得するかだった。

 買い取り額は、場所前の時点で3千万円とも5千万円とも報じられていた。親方株の実勢価格は3億円とも言われるので、実に10分の1。当然、親方たちの猛反発が予想された。

 元来、親方株は協会に帰属していたが、先代から株を譲られ部屋を継ぐ弟子は謝礼を包んだ。それが因習化したのが現状だという。

 金額を提示された親方たちは、大前提の「買い取り」自体に同意しないという反乱を起こしたのだ。

「最初からやり直しということです。親方株の買い取りは、昨年12月に放駒前理事長が『やらなければ公益法人化できない』と押し切りましたが、その時点で額が提示されなかったため、『話が違う、後出しジャンケンだ』となった。『金額より、指名権が大事だ』という声も上がったらしい」(同)

 どうも親方たちは後継者の「指名権」という形で利権を維持し、破産の危機を乗り切ろうという腹づもりらしい。そんな"抜け道"が認められるのだろうか。

※週刊朝日 2012年6月1日


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