最下位に沈んだまま絶不調にあえぐ横浜DeNAベイスターズだが、その本拠地「横浜スタジアム」(横浜市中区)を巡って、"場外乱閲"が勃発している。

 管理・運営する株式会社横浜スタジアムの筆頭株主の一つである横浜市が、「危険な資金運用を続けている」としてスタジアム側に情報開示を求め、5月末までに開示しなければ法的措置まで考える、という「最後通牒」を突きつけたのだ。

 発端は、欧州金融危機を受けて市が行った外郭団体などの投資有価証券の状況調査だった。その際、スタジアムが「仕組み債」と呼ばれるハイリスクの金融派生商品(デリバティブ)を複雑に組み合わせた、ほとんどバクチに近い金融商品を大量に保有していることが発覚した。

 すでに約12億円の評価損を抱えており、さらなる巨額損失も懸念されている。

 スタジアム側は一切情報を公開していないが、本誌が独自に入手した資料によると、ざっと100億円にのぼる投資有価証券のうち、市発行の債券は15億円。この市債などを除いた残り60億~70億円は仕組み債の可能性が高いとされる。

 スタジアム側はこれまで市に対して、

「保有期間は20~30年。満期の際の元本は保証されている。問題ない」

 と説明しているが、そんなに長期の債券投資商品の元本が保証されるはずがないのは金融界の常識だ。

 塩漬けにしておいても、世界経済の先行きを考えれば、評価損がカバーされる可能性は低いとの見方が大勢だ。しかも、やっかいなことに、仕組み債は、満期前に解約すると、違約金を払わなければならないケースがほとんどだという。

 仕組み債に詳しい新保恵志・東海大学教授は言う。

「違約金の額はひどい時には元本の2割から3割、極端なものでは元本の5割というのもあります。一般の会社では、こんな運用はありえない」

 本誌は鶴岡氏に何度も接触を試みたが、「社長の判断として市への回答を先にしたい」(同社広報担当者)というのみだった。

※週刊朝日 2012年6月1日


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