360万人以上が「寝たきり」を含めて要介護認定を受ける現在。健康な老後を過ごすために必要なことは何か。『死ぬまで寝たきりにならない体をつくる!』の著者で宮田医院院長の宮田重樹氏(53)に聞いた。

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 高齢者の寝たきりの原因で多いのは、脳卒中、老衰、転倒などによる骨折、認知症、リウマチや関節症などですが、直接の原因ではありません。これらの病気やケガがきっかかで引き起こされる「廃用症候群(はいようしょうこうぐん)」、つまり使わない体の能力が退化することが原因なのです。
 体の能力を弱らせないためには、少しの心がけとトレーニング、いくつかの誤解を解くことが必要です。
 まずは気持ちのうえで、縮こまらないこと。「年だし無理だ」と端からあきらめる人が多いんですが、いくつになっても前向きな姿勢が必要です。また、年をとると世話をしてほしい気持ちが強まりますが、それもキケン。人から受ける世話が老いに拍車をかけることもあるんです。
 昭和一桁から10年代生まれの男性は、妻に任せきりの風潮がある。お茶すら一人でいれられない人が多いでしょう。私の両親をみても、母が先に亡くなったら父は何もできずガクッとなり、後を追うように亡くなってしまった。年をとるほどに「自分でやる」という気持ちを養うべきなんです。人任せの王様生活は、寝たきりへの近道ですよ。

※週刊朝日 2012年5月25日号